さようなら思い出の739T

これが俺が高校生の時に初めて買ったYTR-739TでSilkyのB3コピーモデルにあたる。

要するに最近では希少なLボアの楽器になるのだが、Silkyコピーなので、非常に技量を求められる楽器と言うことをつくづく思い知らされている。

基本的にSilkyなんかは素人が扱える代物では無いのだが、当時35年程前、この3番スライドのトリガーがとても斬新で使いもしないのに格好良さだけで、確か18万そこそこだったと思うのだが当時のカタログでも上位に書いてあったのを記憶している。

今で言うXenoあたりのランクではあったと思うのだが、当時、楽器の知識など無くそれにインターネットもない時代、簡単に情報を集められないのでどんな楽器なのかサッパリだった。

それにBachも当時から合ったと思うのだが、舶来品など高校生の身分で手が出るはずもなく知りもしなかった。

今は社会通念上の機械の構造的にLボアと言うのがどういうものなのかとか、1枚取り、2枚取りとかイエローブラスにゴールドブラスなどなど楽器のスペックの意味がわかっているが、本当に当時はそんな事、何のことだがサッパリしらず、教えてくれる様な先輩もいなかったわけで、とても残念な使い方をしていたと思っている。

しかし、こんなしんどい楽器のどこが良いって、そりゃー何と言っても音色がマウスピースですごく変わるし、他のラッパをそんなに吹いたわけではないが、息の抜ける吹奏感と言うのが全然違う気がしている。

トランペットと言う楽器を初めて吹いたときにいきなりこの楽器を使ってしまったのが運の尽きで、なんとしんどいパートなんだと当時はつくづく思ったものだ。

さらに、この楽器35年前の楽器で、ヤマハじゃなくて日本楽器販売株式会社と言う企業名でYAMAHAと言うロゴはあったものの、保証書には日本楽器販売って書いてあったのでなんだこの会社はと思ったらYAMAHAの前進だったわけだ。

これを50の手習い的に2年程前に改めて楽団に入って初心者としてやり直したのだが、自転車と同じでしばらく乗って無くてもすぐに乗れる様にはなるもので、すぐに現役復帰したわけだが、スタミナは全くだめで、復帰当初は一曲でへばっていた位で、どうすることも出来ず、今はインターネットがあるわけで、色々とトランペットの構造やら調べ尽くして、いかに練習せずに普通に演奏出来るレベルまで到達するのか調べることで、マウスピースの迷走をしてしまったのだ。

これが迷走した結果で一体、オークションで何本かった事やら...って8本か。

結局、BestBrassの3本で迷走は終了と言うことで、今はBestBrassの7C改があれば十分だ。

7Cと行ってもBACHの7Cとは全くサイズが違っているし口当たりなんかも全然違うとても心地良い口当たりのマウスピースでデザインも気に入っている。(なんでも格好から入るので)

YAMAHAのマウスピースを色々とあさってはみたのだが、YAMAHAのマウスピースの駄目なところは、同じリムサイズでカップの調整が出来ないラインナップで14A4、14B4、14C4とそろえたところで全部リムサイズが違うのでリムサイズがしっくりくるのにカップが合わないとかの調整がとてもややこしくて、これが迷走の原因だったわけだ。

その点、BestBrassの場合、同じ番手なら同じリムサイズでカップサイズ違いと言う選択が出来るので、この3本あるが、全部7シリーズでカップがE、C、Xと超浅め、普通、超深めと3パターンを用意しているだけで済むのだ。

Xはフリューゲルホルン用だがアダプターを使ってトランペットでも使うし、フリューゲルホルンでも使っている。

唇に合わせて自分で一番しっくりくるのがBestBrassは7、YAMAHAは14~16といったところではあるのだが、YAMAHAのマウスピースには非常に苦労させられた。

結局,YAMAHAのマウスピースは諦めてBestBrassだけに絞りこんだ訳で、理由は、メインで7Cを使ってパワフルに演奏するが、曲によって深みのあるメロウな音を出したいときに7Xに付け替えたり、高音がしんどいときに後半は7Eに付け替えたりすることが容易なのだ。

これをYAMAHAのマウスピースでやろうと思うととても技術が必要で、カップの深さを変えるのと同時にリムサイズも変わってしまうので14番手をそろえたにもかかわらず、付け替えるとまず、後半は音が出なくなるし、戻してもアンブシュアが訳のわからない状態になってベストな状態を維持出来ない状態に何度も陥った。

なので、YAMAHAのマウスピースを使うときは最初から最後まで差し替える事無く演奏するしかなく、休憩とか15分程時間があれば、バジングして調整して使い直すとか出来なくもないのだが、機能性がとても悪く、迷走してしまったわけだ。

マウスピースってマジで大事な部品で、ゴルフで言うところのパターであって、どんなに良いドライバーを持っていたとしても1打は1打で、パターで数十センチ転がしてもゴルフでは1打でドライバーでドッカーンと飛ばすのも1打で全く同じカウントだと言うことは誰も知っているのだが、案外パターには金をかけていない人が多い。

おれは、ゴルフをやっていたときはこだわりでROSSIGNOLのL字パターを使っていた。

この感覚でトランペットをまず演奏するのに重要なのは自分に合ったマウスピース探しがとても重要だと思うのだ。

そして、その方法としては、リムサイズと言うのが重要でカップの深さはさほど重要ではないと言うか、カップの深さは音色を変えるファクターだと思っている。

これは、息の入るワークスペースが広いか狭いかで楽器に到達する息の圧力が代わり、コントロールの仕方が変わり音色に影響すると考えている。

わずかなスペースの差ではあるが、クッションがあるか無いか的な感じで息がたまる部分が広ければそれなりに柔らかく楽器に息が届き、狭いと吹き込んだ息がそのまま楽器に入っていくのでかなり吹奏感は変わる。

その際、YAMAHAの用にリムサイズが変わってしまうと、アンブシュアが変わってしまうので演奏中に入れ替えると大変な事になってしまう。

まぁ根性でやっていたけど、すっきりしない感じで、リムサイズを変えずにカップを変えるとすると11番手のAとCだけになるのだが。11番のリムサイズは俺には合わないのだ。

楽器を買うと当初は11番手が付属していたが今は14番手になって少し大きくなって14番は俺にしっくりくるサイズなので14番にこだわったが迷走した。

次に、739Tはさすがに35年もたって、その間タンスの肥やしで銀メッキが変色してものすごい色になってしまうくらいのじょうたいだったのでピストンのメンテナンスが必要になって、一度、シリンダーをオーバーホールした際、2週間ほど預ける必要があって、その間代打として6320Sを中古で5万円ほどだったが用意した。

なのでこいつには全く思い入れはなく、単に修理中の代替えで用意しただけで、まぁリバース管なのと本当は6310Zが欲しかったのだが、品番が近いので似たようなものなんだろうなぁと思って単に選択しただけだが、よく考えるとこれも支柱なしのタイプでボアはMLだが、739Tから見ると、かなり物足りない音量しか出なかった。

楽器としては悪くないとは思うのだが、ちょっと弱いと言うか739Tが力強い印象なのでそう感じるだけで、2330とかのスチューデントモデルなんかよりもずっと鳴らしやすく軽く吹けるには吹けるが、所々の作りがチープで例えばピストンのボタンが薄くてなんか安っぽくてメインにはちょっと貧弱な気がして、739Tが戻ってきたら、自宅練習用として使って演奏には、代打の期間だけでほとんど使うことがなかった。

それでも一応スプリングとか色々とカスタムは施して十分使える状態にはしたがあんまり好きになれず、やはり好きな楽器を演奏していると思わないと楽器もいい音を出してくれないのか、俺には相性が悪かった。

で、結局この2本を下取りに出して昔のキャロルブラス、今で言うクイーンブラスを選択することにした。

BACHも一応選択枝として価格重視でVINCENTを試奏する事にしている。

しかし、セルマーの中古を見たときにこれも良いんだよなぁ...

昔は銀メッキにこだわりがあったのだが、今はラッカーでも良くて、楽器が鳴ればそれで良い。

ただ、このサテン仕上げってあまり見かけないので仕上げのかんじでサテンのゴールドが気に入っている。

このセルマーの中古は12万と言う価格だが、2本下取りに出す事でさらに半値以下で手に入るのでちょっと悩んだ瞬間があった。

ただ、メインの楽器にする一本なので、出来れば新品が良い。

 

予算も嫁さん口説いて20万以下と言うことで話をつけたのでそれなら日野モデルが断然候補に入ってくると言うわけだ。

このQueen Brassのヘビーモデルは試奏させてもらったのだが、一応ライトモデルも試奏したいのでと言うとメーカーに問い合わせてくれて、在庫があるので数日後に用意してもらえる事になっている。

日野モデルが良いと思ったのは日野さんが好きなわけじゃなくて、どちらかと言うとあのほっぺを膨らませる演奏は変えるみたいでなんか気持ち悪くてイヤなのだが、日野さんの演奏を否定するわけではないがウィントンマルサリスと言うジャズトランペッターがとても好きで、彼の使っているトランペットにもやや似ている気がしている。

 

それに、元々YAMAHAにはすごく拘りがあったのだが、実はYAMAHAのバイク乗りでR1をしばらく乗っていたわけで、それ以前から乗り継いだバイクは全部YAMAHAで一度だけスズキのGSX-R1100も乗っていた時期はあるが、それ以外はYAMAHA一辺倒のYAMAHA好きだったが、R1も3回目の車検の際売ってしまったので今は乗ってないので拘りが薄れたのも要因ではある。

まぁ1番スライドのリングがないが、1番スライドはほぼ動かすことはないので妥協できるのか、日野さんが監修した際、いらないと判断したんだからいらないんだろうと思う。

この日野モデルの特徴としてはヒレにつきるのだが、リバース管でありながら支柱のついたトランペットと同じ感じでもう一つ、大抵、チューニング管はスクエアタイプで角張っているが、この俺の買おうとしている日野モデルはラウンドタイプで丸みを帯びているチューニング管だ。

Queen BrassのZolloシリーズには両方のタイプのチューニング管が付いてくる様で、このメーカーの拘りが結構気に入っていると言うのもある。

試奏したとき5Cのマウスピースしか無く、これをBestBrassのマウスピースで鳴らしたときの反応が今から楽しみで仕方が無い。

まぁ今回、演歌、POPs、アニソン、懐メロ、ジャズなどとにかく今の楽団は色々と演奏するし、老人ホームなどの施設で慰問演奏する事もあって、音楽療法としての役割もあったりと、結構本気で取り組んでいる事から、最後までしっかりと演奏仕切ってみたいという思いが募って、思い入れだけではやっていけず、まぁ俺の技量が楽器に負けたわけだが、スタミナは意外なほど付いていて、そりゃーラッパパート一人で20曲吹ききる事ばかりやっているので、体力つくわなぁ。

そんなスパルタなところも今の楽団の方針が自分に合っている気がしていて、毎週の練習が楽しみでしかたがないのだ。

だから是が非でも、最後のアンコールまで第一線でトランペットの音色を届けたい思いに駆り立てられている自分がいる。

もちろん、コンピュータのプロであって、あくまでもトランペットは趣味でしかないのだが、デジタルを制覇して、アナログの楽器演奏もトランペットのカテゴリーである程度上り詰めたいと言う欲求があって、拘り続けたい趣味の一つとして孫にも伝えたいと思っている。

 

 

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