祇園

祇園と言えば最近は観光客、それも外国人観光客がわんさか増えて賑わいを取り戻した感じがする。

祇園町は大きく分けて四条を挟んで北と南に分かれていて、一力を代表する祇園町南と北側は概ね何処にでもある歓楽街、飲み屋街になっている。

中でも飲み屋、ラウンジやクラブなどは良いとして、料理屋も北と南では大きく違う。

北側はカジュアルな感じで、予算的にはディナーで1万円程度みておけばほとんどの店に行けるだろうが、南側はだいたい2万円くらいの予算で、1万円程度の価格帯だと北も南も大差ないとは言えず、同じ1万円なら北側の店の方が美味しい料理が沢山いただけるし、そこそこ豪華なんだが、南側だと1万円も出しているのになんかチープな感じで本当に美味しいものをリーズナブルに食べたければ北側の店を探す方が断然良い。

しかし、南側の店は2万円出すと、段違いでそれはそれはビックリするほど良い食材、良いザービスをいただけるわけだ。

まぁある意味場所代とでも言わんばかりの感じは否めない。

俺も何件か予算2万円程度の店を行ってみたのだが、実に美味しくない...

行った店が悪いのか、感動させてもらえる店にはまだ祇園の南側では味わってなくて、どちらかと言うと北側の店や、全然京都とは違うが天満橋にものすごく味で感動させてくれた居酒屋がある。

料理を頂いて感動するのは俺は味だと思っていて、さしすせその配分でどれだけ感動する味を堪能出来るのかを求めているのだが、こないだ行った店は、良い食材を使っているのは見ても解るのだが、味がなぁ...

まず、キャビアとか出す店は邪道で、何故かというと調理してなくて瓶からスプーンですくっておしゃれに乗っけるだけそこそこの価格を取るわけだ。

それって、祇園で出す料理なんだろうか?と思う。

瓶からスプーンで出して刺身に乗っけるって、調理した?

伊勢エビ湯がいて、身を取り出して、味噌を掻き出して綺麗に盛り付けたのが料理なのか?

はっきり言って素人店長、雇われ店長がいるような店が祇園町南に堂々と存在している。

これを見極めるには色々と行って情報をかき集め、どの店が資本参入型の店舗なのかを探るしかないわけで、資本参入型の店はとても美味しくない。

出してくる料理も、見た目が豪華、良い食材は使っていて、食材が激しく美味しいので美味しく食べる事は出来るのだが、そういう店に限って「焼き物」メニューは非常に少ない。

和食の職人の腕を知りたければ火を使う料理を注文するに限るわけで、さしすせそで代表する調味料などはレシピがあって、センスはいるだろうがこれだと言う味の分量をメモしておけば大抵同じ味になる。

カクテルなんかはちと難しくて、冬場、夏場、気温の変化で同じレシピのカクテルだと客側の味わいが変わってくるので、ベテランのバーテンダーのいるところだと同じオーダー、解りやすいところでジントニックなんかを頼むと一年中同じ味わいで飲ませてくれる店があるのだが、これは奇跡的な店で、大抵はレシピ通りに出してくるので冬場は柑橘系強め、夏場は炭酸強めなどどっちか忘れたが、微妙に分量を変えることでいつ行っても同じ味わいでジントニックを出してくれる店があったが今はなくなった。

しかし、概ねレシピ通りに調味料を混ぜ合わせることで同じ味になるのだが、ここで一番難しと言うかレシピに書けないのが火加減だ。

例えば、焼き魚の焼き加減などレシピに書けないので、職人のセンスが重要になるわけで、とにかく火を使う料理を頼めば大抵の腕前を知る事ができる。

もっと具体的に和食の職人が嫌がる注文と言うのは「潮汁」でこれは火加減のセンスがものを言う料理で、タイとかタコなんかでも出汁をとることが出来るのだが、あくまでも「汁」ものなので、タイのあらで潮汁を作った場合、椀に鯛の身が付いている事があるが、この身を食べたときに身が美味し潮汁は失敗で、味もしゃしゃらも無いほど旨みが汁に抜け出ているのが完璧な潮汁で、この潮汁を出してくれる知り合いの料理人がいたのだが、不幸にも交通事故にあって、店をしめてしまった。

この店の職人さんと実に数年仲良くさせてもらっていて、和食談義をあてに、美味しい酒をよく酌み交わしていた。

天満橋の居酒屋なんかも、感動したのは、魚の煮付けで、まぁなんと美味しい煮付けを出してくれたことかと思ってものすごく感動した。

単にサバの味噌煮とかカレイの煮付けとかそういう魚の煮付けでリクエストして赤魚とかでも作ってもらったのだが、この店で味わった魚の煮付けのだし汁の旨いことと言ったら感動するほど旨かった。

火加減にも拘りがある主人で、フラパンの熱し方で安い肉でも柔らかく仕上げる研究をした様で、とにかくこの値段でこの料理を食べさせてもらえるんだと思ったら、ランチに毎日通っていた。

今は、ちょっと職場の場所が離れてしまいランチでいけないのが実に残念で、偶に仕事の帰りに寄り道しているくらい上手くて、もつ鍋の後の出汁でそうめんを選択出来るのだが、これはそうめんを頼むのが通な食べ方で、なんか他の人は、うどんとかおじやにしているが、そうめんが一番最後まで美味しく味わえると言うのは大きい声では言ってない。

と、まぁ料理は自分でも調理するので火加減の難しさはよく解っているので刺身を綺麗に切ったからといって、それは切れる包丁で切れば誰でも刺身は美味しく食べられるので、寿司屋の場合は火加減のあるオーダーは少ないが、概ね潮汁はどの寿司屋でも出せるし、この潮汁を断る店は行かない方が良い。

それと、茶碗蒸しなんかの出来を見れば良くて、すが入っている様な茶碗蒸しを客に出してくる店もレベルが低いので恐らくミシュランなんかで★は一切付かないと思って間違い無い。

まぁ長々と書いたが、こないだ行った店は食材に頼り過ぎで大した店では無かったなぁとがっかりしたので、また別の店を予約してある。

ここは随分昔からたっている一軒家の店で、一見予約も受けてくれているのだが、まぁ俺の場合帰り道なので、帰り道に直接寄って予約している。

歳とってくると、がっつり系が食べきれなくなっていて、二郎系なんか大好きなんだが余程時間を空けていかないと食べくれずに注文するなら野菜増し増しニンニク増し増しなんだが二郎系でマシマシしないで食べるのは邪道だと思うのでお腹の調子と相談しながら行く事なる。

祇園の南座のとなりに出来た神座なんだが、神座の味は俺の好みではないうえ、食券の券売機を店の外に出しているので、外国人が歩道にたまって実に迷惑なんだが、祇園で平気でこう言うセンスのない横着な経営をするラーメン屋はもうすぐ無くなるだろうと思っている。

店先でみたらしだんごまで売るって、ラーメン屋でラーメンの味を追求するのではなくあくまでも観光客狙いの営利目的丸だしでヨダレ垂らしたような経営は俺の好みではないので2回行ったけどそれで終わり。

今は、一力の女将さんが毎日、朝の散歩をしていて出勤時間と被るので毎日顔を合わせるのだが、なかなか声を掛けるのも俺には敷居が高すぎてどだい無理な話ではあるが、まぁ顔は覚えてもらって居るので、なんかの機会に一力にいけたら良いなぁとは思っているが、俺自身まだ一力の敷居を跨げるレベルではないなぁと自覚しているが、何れはと、自分自身のモチベーションとしている。

まぁ祇園町南の店なら、食材の力に余り頼り切りにならない調理をした料理を出して欲しいものだ。

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